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減圧症チェックイン1


「先週のこと」の減圧症編です。

この件に関しても当事者の方から
もう同じようなことが他のダイバーに起こらないようにブログに書いてください
と初日のデータを託されました。

ダイバーの皆様の安全ダイブの参考になることを祈りつつこのブログを書きます。



ある日の昼過ぎ、ゲストのAさんより長い相談のメッセージが届きました。
Aさんはその日までの3日間トランバンで潜って夕方にSari Diveへ移動することになっていました。


「サトミさん、実はBさんが初日の3本目終了後、左半身に力が入らなくなって座り込んでしまいました。
 椅子に座らせてウェットスーツ脱がせてあげて寝かせ酸素を吸わせました。
 酸素吸ったらだんだん力が入るようになって30分後には元気になったと言ってました。 

 チャンバーに行こうって言ったけどダイビングセンターの人が
 「脳梗塞かも知れないから脳梗塞のチェックしたほうがいい。
  チャンバーで脳梗塞になると終わるまで誰も助けられないから」
 と言うので脳梗塞の検査をしたら問題なかった。
 
 脳梗塞じゃないならすぐにチャンバーに入ってほしかったんだけど
 今度はダイブセンターの人に
 「チャンバーに入ってもひどくなる場合もある。潜ってみて大丈夫だったら大丈夫」って言われ
 
 さらに近くに住んでいる方に
 「自分も下半身に力が入らなくなったけど酸素吸って治ってそのまま潜ってるけど問題ない」
  って言われたのでBさんもチャンバー行かなくていいと言い出して・・・
  
  2日目は酸素を吸ってお休みして
  3日目の今日は浅目短めで2本潜りました」

「ちなみに力が入らなくなった時のダイブプロフィールは
 エントリー後、15m前後に20分。
 そこから26mに降りダイブタイム50分くらいまで26mに居て
 2分位かけて水深5mまで浮上。5mで10分安全停止して浮上です。」

「あと・・すごく良く寝ます。
 バリに来る前、未だかつてない位のストレスと仕事をやったので
 疲れが出て眠いんだと言ってますが・・良く寝ます」

「明日から普通に潜ってもいいかな?」


と言うもの


未だかつてないほどのストレスと仕事をして疲れているのに
窒素を取り込み放題取り込んで排出させないダイビングをしているので
十中八九減圧症だと思います。早くチャンバーに入ったほうが良いと思います。
Sari Diveでは潜らせません。
潜って大丈夫と言うならそのダイブセンターで潜らせてもらってください。


と言う返事をしました。


「やっぱり普通そうだよね。私も一刻も早くチャンバーに入ったほうがいいって言ったんだけど・・・」



とりあえずSari Dive & Cottageに到着してから話しましょう



と言うことになりました。




夕食前にSari Diveに到着

送迎の車にダイブセンターのインストラクターCさんが車に同乗してました。

「ジャーネー!」

と帰ろうとするインストラクターCさんを引き留め


「何か私に伝えなくちゃいけないことは無いの?Bさんのこととか」

と聞くと

「あー・・・
 Bさんには特別にガイドを一人付けて下さい。」


なんで?


「Bさんはスーパーバハヤ(すごく危ない)だから。」


スーパーバハヤなのに何で潜らせたの?


「お客様は神様です。神様が潜りたいと言ったので潜らせました。
 その代わりBさんには特別に一人ガイドを付けたし、ビーチには車もスタンバイしてました。」


Bさんがなんで危ないのか理由は知っているよね。
一人ガイドをつけるとセーフティなの?
Bさんの初日からのダイブプロフィールは把握してる?


「最初の日のは一緒に潜ってないから知らない。
 今日は一緒に潜ったのでスーパーセーフティダイブです。
 1本目がMAX15mで45分間。
 2本目がMAX20mで45分間。だから大丈夫です」


・・・・?

効き間違えたかもしれないから確認していい?
1本目がMAX15m・45分で 2本目がMAX20m・45分?


「そう、1本目が15mで2本目が20mどっちも45分だけ。
 すごいセーフティダイブです。」


そんなの全然セーフティじゃないでしょ?
普通、ダイビングは・・・

と言いかけたとたんに

「サトミさんとは言葉が同じじゃないからミスアンダースタンドかも知れないから
 ヘリに話します」


と言って、横に居たヘリにインドネシア語で同じ内容を話した。


話されたヘリは目が点。口もあんぐり。


普通は1本目を一番深いダイビングにして2本目は浅くするものだ
それに減圧症になった人を潜らせるものではない


と、ヘリもCに伝えている。


すると


「各ダイブセンターにはいろいろやり方があります。
 サリダイブはそういうやり方、うちのダイブセンターはうちのやり方
 うちは神様が潜りたいって言ったのでスーパーバハヤだけど特別サービスをしてセーフティに潜らせました。
 サリダイブがそれをやりたくないから潜らせないというならそれもいいでしょう。
 
 とにかく、BさんはもうSari Diveさんに送り届けましたのでうちの仕事は終わり。
 ここからはSari Diveさんのやり方でサービスしてあげてください」


ちょっとカチンときたので


それがあなたのダイブセンターのやり方なんですね。
わかりました。


と言うと


「ダイブセンターのやり方じゃなくて私のやり方」

と言い直していましたが。



とりあえず責任はこちらに丸投げされたという事らしいので

とにかくBさんに安全に日本に帰ってもらうことを優先に考えることにしました。






夕食後、発症日のダイブプロフィールを教えてもらいました。


目を疑うものでした。



1本目

減圧症チェックイン1_c0211615_02592588.jpg




2本目
 
減圧症チェックイン1_c0211615_02585593.jpg





3本目

減圧症チェックイン1_c0211615_03001127.jpg


最初見た時、1本目と3本目が入れ替わっているのかと思いましたが
確かめてみるとやはりこの順番で潜っていらっしゃいました

時間が長いというのはある程度予想がついていたものの・・・・


最大深度が

14.1m・・・21.3m・・・・26.3m

まるで逆です。

あのイントラのCさんがスーパーセーフティダイブと言っていたのは
本気でそう言っていたのかもしれない。
きっとセーフティな深度のシステムを逆に覚えてしまっているんでしょう。
イントラがこうなのできっと彼に教えてもらったガイド達も
彼と同じスタイルなのだと思います。


そしてほぼ箱型、
いや箱型よりも嫌な感じです。
潜行中に何度も停まってゆっくり潜行、最後は素早く浮上な感じです:汗


Bさんが撮影で自分が結構停まっていたと言っていましたが
それでもやっぱりおかしい。

これでは減圧症になるためのダイビングをしているようなものです。

しかも、浮上中10m位でディープストップをしていると
ガイドに早く上に上がって来いと呼ばれるのだそうです。

減圧症にならない方がラッキーな感じです。



セーフティダイブの基本をちゃんと学んでいないガイド

バリ島のガイドのすべてがすべてそんなガイドではないですが
バリ島にはこんなガイドが普通にいるということを日本のダイバーの皆様には知っていてもらいたい。


海外でのダイビングは自己管理。
そして何かが起これば自己責任になる。
(助けてくれないダイブセンターもあります)

自分の体は自分で守るが基本です。

ガイドにセーフティを求めるべきじゃないと思ってください。



実はトランバンからいらっしゃったゲストが減圧症と言うのは
今回が初めてじゃありません。


きっとトランバンは良い海過ぎるのだと思います。
面白すぎてゲストもガイドも我を忘れてしまうんでしょう。

良い海だけどガイドはセーフティに疎いものもいるようですので
自己管理で十分に気を付けてダイビングを楽しんでもらいたいと思います。


長くなってしまったので



次のブログで減圧症ゲスト様へのその後の対応について書きたいと思います。


海外での減圧症治療への段取りです。



ダイバーの方は他人ごとではないですよ。





by sari_dive | 2018-12-09 00:30 | Sariメーキング話 | Comments(2)
Commented by カラサワ at 2018-12-09 10:51 x
ダイビングサービスの問題以前に、この程度の常識もないのでは、絶望的ですね。ガイドもダイバー本人にも。初日のダイブプロファイルなら、安全停止などまったく意味がありません。最悪のプロファイルですね。また急性の症状がダイブ後に出ていて、減圧症と脳梗塞を比較するのも、変な話ですね。



Commented by sari_dive at 2018-12-13 22:31
カラサワ様
そうですね。最初この話を聞いたときにはビックリしかありませんでした。ご本人は写真に夢中でこんな危ないダビングをしていると気づいたのはダイブプロフィールをグラフにしてからだったようです。ガイドの方はゲストがしたいようにやらせてあげるサービスのようでしたし。
また、減圧症のことをあまり解っていないから脳梗塞と言うのが先に思いついたのかもしれないですね。とりあえず・・うちにはしごするスケジュールだったことがご本人には良かったと思います。