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食あたりと食中毒

前のブログの続きです。
ここから読む方もいるかもしれませんので一応もう一度書きます。

サリダイブでも複数のゲストが一度に食あたりになったのは多分創設以来9年間初めてのことです。

リゾートにとってタブーである食中毒についてブログにするのは
サリダイブで起きた出来事をシェアすることで
これからバリに来る皆様の役に立ててほしいという理由からです。

*通常食あたりと食中毒は同じ意味として扱われますが
 ・熱のない軽いものを食あたり
 ・高熱の出る重いものを食中毒
 としてこのブログでは説明させて頂きます。


では、先日起こった食あたりと食中毒について思い出せるだけ報告します。


7名のうち3名のゲスト様が同じ日に食あたりになりました。

朝食は3名とも普通にお召し上がりになりました。

Aさんは1本目のダイブで水中で嘔吐。
逆流性食道炎の気があるそうで最初はそれだろう軽く思っていたそう
ランチは食べず2本目のダイブ。
その後落ち着いたのでおやつを食べる
3本目のダイブはまたそれを嘔吐
お部屋に戻った後下痢

Bさんは3本目のダイビングの途中からお腹が少し張っている感じがあり
すぐにお部屋に帰ったところ腹痛&下痢。

Cさんは3本目のダイビング終了後ダイブセンターで皆でドリアンを食べた
部屋に戻り夕食前にお腹の調子がおかしくなり下痢
(もともと風邪をひいて体調を壊されていた)


他の4名のゲスト様は全く異常なしでした。

食あたりにあったゲストにアクエリアスの粉末とペットボトルの水をお持ちし水分補給して頂く
熱はなかったようでしたので軽い食あたりと判断し
常備薬の百草丸を飲んで安静にして頂きました。

翌日には皆様回復


元気な4名のゲストと原因を考えてみましたが
全員が同じものを食べても4名は元気なこと
かえって食あたりになった方の方が食べてないものがあること
3名の発症時間、症状などがまちまちなこととで原因は特定できませんでした。
もしかして原因はそれぞれ3人共違うのかもしれないという意見もありました。

キッチンスタッフとも緊急ミーティングをしましたが
これと言って決めての原因が見つからず。
改めて手洗いの徹底、生野菜を水道水で洗っていないか?
卵を使う前に必ず殻を洗っているか?などを再確認



その数日後食中毒(熱あり)が起こりました。
前回のものと全く違う症状で熱が出るタイプです。


この日はゲストが全部で7名

ボートダイブ:2名
シークレットベイダイブ:5名

食中毒はシークレトベイチームで発症

3本目のダイビングの最中に吐き気を催し2名が嘔吐
コテージに帰って来る頃にはもう一名も具合が悪くなり計3名がダウン。

夕食前に3名のうち1名が発熱(38.6度)
熱が出るということは何かの菌に感染したと判断したため病院に連れて行くことに。


この辺りで一番まともである病院へ搬送(片道約1.5時間)
ヘリに10,000,000ルピアを握らせました。
Sari Dive & Cottageで責任をもって支払する条件ですぐに治療開始

点滴4本などの処置と抗生物質などの薬を頂きました。

診断はサルモネラ菌とのこと
(*サルモネラとは断言はできないとのこと)


ヘリの最初の電話では4日間入院かもとのことでしたが
最終的には医者に入院する程ひどくないので帰っていいと言われたそうです。
そして3名いるのでSari Diveまで訪問治療して頂くことになりました。

病院での3名の処置が終わったのが23時頃
支払いで請求されたのは一人当たり約4,000,000ルピア

合計12,000,000ルピア以上

ヘリの持参金では足りなくて支払いが出来ないので
全員病院から出さないと言われ軟禁状態だと電話があり
急いでスタッフに5,000,000ルピアを掴ませて病院へ行かせました。

こんなハプニングもあり
支払いが終わり戻って来たのは夜中の3時頃でした。


インドネシアの病院では支払い能力がないと治療してもらえません。
そして、支払いが終わらないと病院から出してもらえません。



翌日17時頃にお医者様が来て3名に抗生物質等の点滴

この日同じグループのダウンしていなかった2名のうち1名が
3本目のダイビングの後にダウン。
(朝の1本目から下痢だったがどうしても潜りたかったらしい:汗)

お医者様に一緒に診て頂き抗生物質等の点滴


その翌日は朝7時にお医者様が来て抗生物質等の点滴4名。
最後にダウンした一名には薬を頂きました。


それで治療終了。


落ち着いてから皆で考えたのですが
このグループの中で唯一ダウンしなかった方は
この日のランチが外注のものではなくサリダイブのパンだったということで
外注のランチが原因ではないかということになりました。

外注ランチは今まで9年間何もなかったとは言え
これからはSari Diveでもランチを作るようにして
クーラーボックスでの保管の徹底
車の中に放置しないなど管理をして再発防止をしていきたいと思います。

ランチが原因ではない可能性もゼロではないと思ったので
キッチン器具の煮沸処理、アルコール処理
そして貯水タンクの薬(多分塩素)もいつもより多めに入れることにしました。
もちろん客室もアルコールで消毒致しました。


体調を壊した皆様
ご迷惑をおかけし本当に申し訳ございませんでした。


話を戻して

皆さんに知っていただきたいことは
今回の治療費のことです

4名分の訪問治療代が約30,000,000ルピア

初日の病院で支払った3名分が約12,000,000ルピア

合計すると40,000,000ルピアを軽く超えました。


一人当たりの治療費は約10,000,000ルピアです。
(日本円にして今のレートで約8万円)


海外でそれなりの治療を受けるとこの位の金額が必要になります。


今回すべての治療費はSari Dive & Cottageで負担するという条件で病院側もすぐに治療を始めてくれました。

しかし、
通常はゲスト様が自分でお金を用意しなければならないことの方が多いと思われます。
その方がインドネシアでは一般的かも知れません。


ここで皆様に考えて頂きたいのが保険です。

保険があれば10,000,000ルピアもの現金を用意することもなく治療が受けられます。
もちろん電話等での手続きは必要ですが
病気の時に一人で現金を調達するよりもずっと楽です

保険がない場合現金がないと(または支払い能力がないと)
インドネシアでは全く治療をしてもらえません。

(*支払い能力がない:クレジットカードがあっても本人が動けない。意識がないなど。)

今回のダウンしたゲストを見て感じたのですが

ダウンした状態で自分の保険会社に連絡をとったりするのは
すごく難しいのではないかと思いました。

カバンの中の保険の冊子を探し、小さな字で書かれた電話番号を探し
電話をかけ契約者ナンバーと自分の状態を話す・・・ということをしなくてはいけません。

多分、今回食中毒になったご本人達も難しいと感じたと思います。


保険会社、ナンバー、保険電話番号は必ず現地の第三者に伝えることが必要だと思います。
(またはすぐにわかるように用意をしておくこと)


この事は以前脳梗塞になったゲストをケアした時にも感じたことです。



Sari Diveでは申込書に保険会社名、保険番号、電話番号を書く欄があり毎回記入を必須としているのですが

「保険会社はわかっても契約番号がわからない」

と言う方が結構いらっしゃいます。


それではせっかくかけている保険が
いざと言う時には全く使えないということになります。

要は保険のかけ損
保険料を捨てているのと同じです。


サリダイブの保険はインドネシアの保険ですので高い掛け金の割に支払い上限額がとても低いです。
脳梗塞などの病気や大きな事故に遭った時には(遭難も然り)全く足りません。


日本の保険は安い掛け金で大きな保障が得られます。

必ず海外に出る場合は保険をかけて来てください。


クレジットカードの保険も良いと思いますが
本人確認が必要で既往症などの審査に時間がかかり
緊急時には間に合わない事もあります。
その辺りの条件はご自身のクレジットカード会社に確認してみて下さい。


DANの保険はダイビングがらみの事故には有効ですが
今回の食あたりや、脳梗塞などの病気、陸上での怪我には使えません。


今回はサリダイブが責任をもって支払を保証しましたが
インドネシアでは自己責任・自己負担が普通です。

海外旅行される場合には
お守りだと思って海外保険に入るのをお勧め致します。


最後に・・・
お医者さんではないので自己流ですが

【食あたり、食中毒になった場合】

体に合わない食べ物が体の中に入ってしまったのを出す現象なので
正露丸など下痢を停める薬を絶対に飲まないで下さい。
水分を十分補給して出るものをすべて出し切ることで回復に向かいます。
熱が出ないようなら異物から毒素は出ていないので出てしまえばあっという間に回復します。
高熱になるようだったら医者に見せたほうが良いと思います。

ちなみに・・・
アメーバ赤痢の場合は熱が出ます
激しい腹痛が波のように押し寄せその後に下痢または嘔吐。
体の中の異物が無くなると同時に体調は回復
夜中に発生しても翌日1日休めばダイビングも可能なほど回復します。
潜伏期間は数日~2週間

サルモネラ菌の場合
潜伏期間が8時間~4日間だそうです。
アメーバ赤痢よりかなり高熱が出ます。
お腹の痛みはひどく無くいきなり便意が起こり下痢になるそうです。
便意のある時以外は普通に過ごされていました。
一応お医者様には3日間安静するようにと言われていたようでした。
(下痢も3日位続いたようです)


今は毎日キッチンスタッフといろいろと衛生状態について意見交換をしています。
これまで以上に食事にこだわったサリダイブに進化できるように努力していきますので


これからも応援よろしくお願い致します。


次のブログは先週の出来事の続きで減圧症発症でチェックインです。





追記
そろそろ半年を過ぎ読む方も少なくなったと思うので書いていなかった事実を付け足します。
注意深く読んだ方や医療関係者の方だとブログの矛盾に気が付いたと思うのですが
そもそも食中毒は食べた後すぐに発症するものではなく潜伏期(8~48時間最長で72時間サルモネラの場合)があります。
ですのでランチの直後に発生したのにランチが原因である事はありえません。
また前日の夜からお腹が緩かったという方もいらっしゃったという事実もありました。
そして重症な食中毒になったのは他のリゾートからいらしたグループの一人を除く全員です。
もともとサリダイブに居たゲストはもともと体調がすぐれない方もいたのに食中毒にはなりませんでした。
このことから原因がサリダイブの食事なのかどうかもグレーな感じでしたがグレーのままでこれらの事実をブログに書くと他のリゾートに迷惑をかけることになると思い、当初このブログには100%サリダイブが原因として書きました。

この事件で食中毒には潜伏期があるので他リゾートからのゲストの場合少し気をつけなければと学べました。
そして減圧症も・・・・
こうやってひとつひとつ危機管理を学んで賢いリゾート経営者になっていければと思います。

皆様も食中毒には潜伏期があるということを知って頂ければと思います。
帰国後に食中毒の症状が出ることもありえるのです。



by sari_dive | 2018-12-08 03:51 | Sariメーキング話 | Comments(4)
Commented by JUN nagura at 2018-12-08 18:42 x
こんばんは!食中毒の場合、同じ食事でも発症率には幅があり15%程度の事も有るので、結構高い発症率ですね。日本では食事を保存しておいて食事が出たら遺伝子検査という手順だそうですが、インドネシアではできないでしょうから原因の特定は難しく、状況証拠のみとなるでしょうが、行く方迎える方ともに注意が必要ですね
Commented by まー at 2018-12-08 21:12 x
参考にというか、勉強になりました!初めて海外旅行のインドで高熱をだし、一週間寝込んだことを思い出しました。水様便が出る下痢でしたが、貧乏旅行の栄養不足と疲れが主原因と思っています^^保険には入っていましたが、1万円以下で済み、使わなかったです^^数年後からの海外では、カードの保険頼みでまったく入っていませんでしたが、まあ、歳もいってきたし、今後は入っておこうかなと。
Commented by sari_dive at 2018-12-13 00:25
JUN nagura様
そうなんです。こんなに発生したのは初めてなので慌てました。インドネシアではバリ腹と言う位によくあることだからか検査などをしてくれるところはありません。
これからも食事にはさらに気を付けていくつもりですが正直今回のことはトラウマになりそうです。ゲスト様も休みを取るために日本で無理をしていらっしゃる方も多いので:汗
Commented by sari_dive at 2018-12-13 00:28
まー様
一週間ですか:汗 ほとんど旅行の間中ですよね。確かに疲れていると食あたりになる確率は高いと思います。
今回も近くのクリニックに連れて行けばきっと1万円かからなかったのではと思います。いい病院にと思うとこういう値段になります。クレジットカードの保険も使えないことないですがやはり海外保険の方がとっさの時には強い気がします。