保険は大事だよ~(超長文)

時間が出来たら書いておかなくちゃと思っていたことです。

皆さん、海外保険ってどうされていますか?

毎回入っていらっしゃる方、日本で入っている保険が海外に適応する方
そしてクレジットカードに付帯する方・・・

いろいろいらっしゃると思うのですが

保険に入ってても必要な時に情報が知られていないと使えないのです。

皆さん、そういう認識ありましたか?


2月にあったバリ島ヌサペニダ沖での事故でもそうです。
保険に入っていてもその情報が知らされていないと本人が手続きをしない限り使えません。

Sari Diveの受付票には保険の情報を書き込んでいただく欄があるのですが
書くのが面倒で空欄のままや入っていないに印をつける方も多いです。

Sari Diveは事故100万円相当、救助400万円相当の保険に入っているので
私も今まで敢えて書き込みを強要しなかったのですが先日思いもよらぬことが起きました。



水中で脳梗塞


正確にはくも膜下出血です。



私とヘリが日本から戻ってきた数日後のことです。
荷物の片付けも終わっていませんでしたが何故か海に出たくて私も体慣らしに海に出たのです。

そこで見たのは・・・
1本目のダイビングの終わり頃水深5mで動かなくなったゲスト様と心配するガイド
私はその時ほぼ水面に居ました。

ガイドがOKサインで確認するとゲスト様はOKのサインを出します。
それ以外は魚を目で追っているようですがカメラも構えず全く動かず

セーフティーストップが終わりボートへゆっくりと自分で上がってきたAさん
ボートの椅子に座り他の方の見た魚の話を聞きながら

『水中ですごく頭が痛くなって・・・首がパンパンに張ってる・・・』と言い始めました。


大丈夫ですか。と声をかけると


『ダメかも・・・あっイタ・・・・・・』


と言ったまま動かなくなりました(座った姿勢)
何かピンと来ることがあり

気持ち悪くないですか。と聞くと

『気持ちは悪く無いです』

といった途端にAさんは嘔吐しました。



脳だ・・・


何故だか自分の心の中で断定できました。



Sari Diveに帰ります。皆さんごめんなさい。今日の予定は変更になります。

オキシジェン!オキシジェン!(酸素)


酸素の準備はいつも練習しているのでスタッフたちがすぐに用意してくれました。
私はレイキで少しでも悪化を防げるように手を当て続けました。

ゲストの皆さんも尋常じゃない様子にすぐに理解して頂け出来るだけ早くサリダイブに戻りました。



サリダイブの長い桟橋をAさんをリアカーに載せて移動させ
ダイブセンターに腰掛けさせ落ち着くまでレイキ続行
その間何度も吐き続けます。

少し落ち着いたところでウェットスーツを脱がせソファーに寝かせました。

その間に車に酸素を載せ寝床を作り病院へ連れて行く準備をしました。

*この辺りは僻地なので救急車を呼ぶのだけで最低1時間半かかるので
  自分の車で連れて行く方が病院に早く着けます。


ダイビングセンターはリック
キッチンはイロちゃん
コテージはアリス
この3人を呼び寄せ

『他のゲスト様をよろしく。あなた達を信じています』

と手を握って私は車に乗り込みました。



ヘリにはシガラジャの病院の方が近いからシガラジャに行こうと言われましたが
脳だったらシガラジャじゃ施設がないだろう・・・デンパサールならきっとある。
4時間半の道のりの危険性と病院の施設と質を秤にかけ
その判断の重さに泣きそうになりながら
思い切ってデンパサールの日本人スタッフの居るインターナショナルな施設のある病院を目指しました。


ダイビング直後なので山道を避け、静かな運転を心がけさせたのもあり
ノンストップにも関わらず5時間以上かかり病院に到着しました。
その間私はずっとレイキし続けました。

病院に着き、お医者さんに診てもらうと
これだけ時間経っているし脳ってことではなさそうですね
と言われましたがCTを撮るとしっかり出血が映っていて
くも膜下出血という診断でした。


あれだけの距離をあれだけの時間をかけてここまで生きて連れて来れたのは奇跡に近い
と言われた時は安心したのと同時に
ここまで連れて来たことの怖さも一気にやって来て心臓のドキドキが止まりませんでした。



それからが大変でした。


Sari Diveから有り金を現金で30万円程を握ってやって来たのですが
当たり前ですがそんなお金では脳の治療には足りません。

常識的に考えてクモ膜下出血は水中事故と言うよりは病気と言う捉え方にもなるため
Sari Diveの事故保険もすぐには使えず・・・パニック状態。

ゲスト様のダイビング受付票の保険の欄には保険なしと書いてありましたし
とりあえず緊急連絡先は書き込まれていたのでそこには連絡しましたが
やはり保険金のことはわからず

イチかバチかでゲスト様のクレジットカードを連れのゲスト様と一緒に1つずつ調べていきました。

当たり前なのですがクレジットカード会社は保険を使えない理由をとても丁寧に説明してくれます。
それなのに私ったら心の中で『時間がないんだからNoならNoで良いのに』・・・とイライラしたり
ドキドキとイライラで自分が自分でなかった感じです。

幸運なことに一つのクレジットカードの条件が当てはまり
そのカードの保険で治療を行えるようになりました。


この保険の件は病院の日本人スタッフの方たちにとてもお世話になりました。
日本人スタッフの方達がいなかったら保険も降りず治療も受けられなかったかも知れません。
つくづくこの病院を選んだことをありがたく感じました。


突然のことでご家族も事情がありすぐに来られないということで
私はAさんを放っておくことが出来ず8日間24時間態勢で付き添いをしました。

最初の数日はどんどん良くなり一度はトイレに行けるようにもなりましたが
その後他の症状を併発悪化し私だけでは面倒を見れなくなりICUへ

淚ばかりあふれましたが日本人スタッフの方に

『大西さんの判断、行動はパーフェクトだった。だからここまで生きて連れてこれたし
一度は回復に向かった。責任があるわけでは無いのに本当によく尽くした。
これからのことは大西さんがいくら頑張っても変えられることは出来ない
本当によくやったんだから自信持っていいよ。仕事にも戻って大丈夫。後は私達に任せて』

と慰めて頂き
GWの最初のゲスト様がいらっしゃる前日にSari Diveに戻りました。


その後GW半ばにクレジットカードの保険も足りなくなってきたと連絡があり
Sari Diveの入っている保険会社にもう一度話をすることになりました。

クモ膜下出血はダイビングアクティビティ中に起こったと言うことを
全面に押し出した診断書を病院側で出してくれたこともあり
Sari Diveの入っていた保険の方も降りることとなりました。

手術はせずに入院だけでしたがトータルで250万円ほどかかったのではないかと思います。
(手術となったらもっとかかっていたでしょう)

GW明けにはAさんは車椅子でご家族と一緒に日本へ帰国され
今は専門の病院で治療を続けています。


今回のことは大変な出来事でしたが
いろいろなラッキーが重なりAさんは命が助かったのだと思います。


1)いつもだったら荷物整理を優先にするはずの私がその日は海に出ていた。
2)何故か脳梗塞の症状の知識があり確信を持て対処できた
3)近いシガラジャの病院で自分の責任を終わらせることよりも
  危険を承知で治してもらえる遠い病院を選ぶ勇気を振り絞ることが出来た。
4)日本人スタッフのいる病院をすぐに調べることが出来た。
5)水中での出来事だったのでガイドや私がすぐに気がつけた。
6)水中での出来事だったのでサリダイブの保険が降りた。
7)どこまで役に立ったかは確信できないけどレイキを知っていた。


5),6)に関してはダイビング中に起きた時は『なんで水中なんだ』と神様クレームしたかったけど
お部屋で倒れてしまったら発見が遅れたかもしれないし
倒れて頭を打ってしまったかもしれない
さらに・・・お部屋だったら絶対に保険は降りなかったことを思えば
正直生きた心地はしませんでしたが水中で起きたことは
私にとってもゲスト様にとってもとてもラッキーなことだったと思いました。



実はマブール時代にも水中で気胸になったゲスト様の搬送経験があります。

http://satomimantarey.blog.so-net.ne.jp/2006-06-01

あの時の経験があったからこそ水中での発症を見た時に
あの時よりは冷静に判断出来る強さがあったのだと思います。

前回現場での対処を経験し今回はその後の病院での手続き等を経験することになりました。
これはこれからダイブサービスを経営していく上でとても貴重な経験となりました。

海外在住の自分の保険も見なおさないといけないと思ったし
Sari Diveの受付票の保険の欄の空白の危険性もしっかりゲスト様に説明するようになりました。
僻地の危険性を踏まえた上での安全第一のダイブセンターを作っていきたいと思いましたし
私に頼り過ぎないSari Diveのシステムを考える良いきっかけにもなりました。


こんな訳で

帰国から戻ってGWを通しすごくいろいろありました
GWの準備も殆どしていなかったのにどうにか乗り越えることが出来たのは
施設に不備があったり私がトンチンカンなことをしても
暖かく見守ってくれたご理解あるゲスト様のおかげだと思っています。

本当にありがとうございました。



・・・・今年のおみくじがダブル大吉だったのは

起こってしまう出来事は仕方がないとして
それにしっかり向き合い対応することが出来良い結末で終わったこと
そして次のSari Diveの方向性が見えて来たと言うことだったのかも知れないですね。


神様に感謝です。





PS...

Aさんの連れのゲスト様に


『マブールの時と言い・・なんでいつも私にはこう言うことが起こるのかな・・・・』


とぼやいてしまった時に


『サトミさんなら助けられるからって神様がサトミさんを選んだんだと思う』


と慰めて頂いたのですが


・・・出来ればもうこういう事では選ばれたくないなあ・・・と思ったのでした:苦笑





ということで長い長いお話にお付き合い頂きありがとうございます。

皆さん、保険は大事ですよ~

そして入っているだけじゃダメですよ~

と言うお話でした。


チャンチャン



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by sari_dive | 2014-05-23 15:49 | Sariメーキング話 | Comments(0)